年々勝負強さを増す松田宣浩のバッティング

マッチの勝負強さは半端ない

今年のパ・リーグ レギュラーシーズンもホークスの2連覇で幕を閉じようとしています。今シーズンのホークスの中では柳田悠岐選手の活躍が最も評価されるでしょうが、選手会長松田宣浩選手(通称 マッチ)の活躍も眼を見張るものがあります。今年のヤフオクドームはホームランテラスが設置されたこともあり、マッチのホームラン数は現在34本(9月26日現在)で、彼のキャリアハイの成績です。  昨年のシーズン最終戦、勝ったほうが優勝というオリックス戦で、延長の末サヨナラタイムリーを放ったのもマッチでしたし、日本シリーズ第5戦で日本一を決める虎の子の1点を叩きだしたのも彼でした。今年も既にサヨナラホームランを3本放ち、年々勝負強さを増しているマッチ。しかし彼のプロでのキャリアは必ずしも順風満帆ではありませんでした。

怪我との闘い

マッチは2005年のドラフト逆指名によりホークスへ入団。当時ホークスの三塁手には元メジャーリーガーのトニー・バティスタがいましたが、当時の王監督ら首脳陣の「松田を育てる」方針でバティスタは契約打ち切りとなりました。 翌2006年には新人ながら開幕スタメンを勝ち取りましたが、以後は成績が振るわず二軍降格となります。しかしここで秋山前監督と出会い徹底的に鍛えられていきます。 2007年よりレギュラーに定着。不動の三塁手となりますが、死球により2009年右手首、2010年左手首、2012年右第4中手骨を骨折し、チーム離脱を余儀なくされます。彼がフル出場できた2011年は日本シリーズ制覇出来ましたから、優勝できなかった年はマッチ不在が響いていたといえるでしょう。 

個性的なバッティング

バッティングの特徴は、強靭なリストを生かしたプルヒッターです。「ボールを前で捉えて手をギュンと出す」前テギュン打法と、空振りやファールを打った後のケンケン。マッチいわくこのケンケンが調子のバロメーターだとか。ネクストバッターズサークルで素振りをするときもケンケンしてましたね。 マッチの凄さは、たとえ最初の3打席が3三振だったとしても、4打席目で勝負を決めるバッティングが出来ること。最終打席で決勝ホームランを打った試合を何度も観てきました。記録以上に記憶に残る選手です。
ツーストライクと追い込まれると、バットを短く持ってミートを心がけるようになり、三振が減って確実性が上がりました。これまで死球で骨折することが多かったため、最近はホームベースから離れて構えるようになっています。外角を攻められたら届かないんじゃないかと思うぐらい離れていますが、配球の読みもあり踏み込んで上手く打っています。ヤフオクドームのホームランテラスの恩恵もあるんでしょうが、今シーズンは右方向へのホームランも増えています。 また写真で見るように、右手と左手の間が離れている時があります。こんな構えは他の選手ではあまり見ないように思います。これは他のブログでも取りざたされていますが、ヘッドが下がりにくいというメリットがあるようです。 鷹速@ホークスまとめブログ : SB松田って右手と左手離して打つやん?  私はバッティング理論については素人ですが、ホークスの王貞治会長はその著書『もっと遠くへ 私の履歴書』の中で以下のように書いています。  
打席に入ってからのルーティンも決まっている。掌に唾をぺっとやり、土にさわって天然の滑りどめとし、バットをきゅっと握る。今の打者はスプレーでガチッとグリップを固めるが、あまりに遊びがないのは考え物だ。野球選手として大柄とはいえない私が遠くへボールを飛ばせた理由はこの辺にもあった。バットをわずかに遊ばせておくことで、インパクトの瞬間、ヘッドの遠心力が最大限に生きる。剣道やフェンシングでも、手元をわずかに緩めておくことにより、「面」や「突き」で、太刀がもうひと伸びするという。それと同じ理屈かもしれない。私は常にバットを短く持っていた。芯にさえ当たればホームランになるというインパクトの強さがあったから、あとは短く持って確実に当てることに集中すればよかったのだ。 
  選手それぞれは体格や筋力の違いがあります。トレーニングによって体のバランスも変わってくるでしょうし、年齢的な変化もあります。勿論相手からも研究されますし、攻め方も年ごとに変わるでしょう。その中で結果を残すためには、自分のバッティングのスタイルをその年ごとに変えていく必要があります。体力・技術の変化、経験を上手く利用し、相手の攻め方を乗り越えていくことが息の長い選手になる秘訣なのでしょう。 今年海外FA権を取得したマッチ。リーダーシップも素晴らしく、ホークスにはなくてはならない存在です。リーグ戦もまだ残りがあり、CSも控えています。これまでどおりの勝負強いバッティングを見せてくれ、マッチ。   以上鷹のぼせの独り言 でした。   
もっと遠くへ (私の履歴書)
• 作者: 王 貞治
• 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
• 発売日: 2015/06/25
• メディア: 単行本
   

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鷹のぼせの独り言

医療者で3児の父親です。ご覧のとおりの“鷹のぼせ”です。育児、医療、書評、そしてホークスについて語ります。